断熱性能はUA値、C値、(Q値)があります。現在日本住宅の省エネルギー基準に使われているUA値です。家系ブログの方々でUA値についてほとんどの方が記述されていることから、多くの人が重視する性能値です。今日は、UA値についてわかりやすく・詳しく教えてほしい。どこまでよければいいんだ?等々について書きたいと思います。
なお、SEKISUI HEIMでは、間取り(窓のサイズ・配置)に合わせ、断熱性能を数値化してもらえます。
Mein heimの断熱性能はUA値0.50 W/m2Kでした。6地域のZEH基準値が0.6のようなので、それを満たしています。ただ、2022年に発表された次世代の基準からすると、等級5と等級6・7には達しておらず、最近の家では平凡な値でしょう。
UA値とは
UA値とは外皮平均熱貫流率(=総括伝熱係数)]です。
Uは熱損失(伝熱)係数です。AはAll(すべての)のことだと思います。
外皮とは壁、屋根、床、窓などのことです。
つまり室内と外気の熱の出入りのしやすさの指標です。
工学部で伝熱を学ばれた方は総括伝熱係数の方がなじみがあるかもしれません。
指標は、単位を考えればよくわかり、[W/m2K]です。
Ua値は、屋根や外壁、床等からの熱の伝えやすさの指標ということです。
【重要】式を変形することで、室内を快適な温度に保つために必要なエネルギーが計算できる
ここでUA値の式を変形し、室内を快適な温度に保つために必要なエネルギー量を算出できることを示します。
外皮等面積について
外皮表面積は、外の壁の面積のことです。
外皮等面積は、間取りを設計した段階で、延べ床面積と同様に求められます。
設計中・建築後の方は、営業や図面・申請書類を確認すればいいです。
これから家を建てるという方は、国土交通省が計算用に作っている、モデルハウスの仕様を記載するので、ご参照ください。
床面積の合計 | 120.08m2 |
主たる居室の面積 | 29.81m2 |
その他の居室の面積 | 51.34m2 |
非居室の面積 | 38.93m2 |
外皮面積の合計 | 307.51m2 |
【重要】UA値には表れないが、家のサイズは省エネ性能悪化要因
ここで、一つ指摘しておきたいと思います。省エネ住宅にしようと思うと、UA値を皆さん追及するのですが、家のサイズも重要な指標です。
- あまり使わない部屋
- 天井を高くする
- (無駄に)広い部屋
これらは外皮等面積が増えるため、性能悪化要因です。「質素な間取り」を心がけるのは省エネ住宅の基本です。
【重要】夏よりも冬、温暖地域よりも寒冷地で重要な指標
ここで、実際に必要なエネルギー量を計算してみましょう。
私は三重[6地域]に住んでいますが、冬の最低気温は大体0℃です。エアコンの設定温度は、大体22℃でした。(Mein Heimの家に住んでからは21℃ぐらいです。)冬の温度差は約22℃としましょう。夏は最高気温35℃、エアコンの設定温度を28℃とします。夏の温度差は、約8℃です。そのため、冬の方がUA値による性能差が出やすいということになります。また、別の記事に書こうと思いますが、夏は日光のによる熱の流入や、輻射熱の影響が大きくなります。
(騙されやすい)UA値の改善効果は、改善割合でなく、改善量で!
ここは、数字の見せ方の話なので、ご興味がなければ飛ばしていただいて大丈夫です。
ここで、説明しやすいようにあるUA値(0.7,0.5,0.3[W/m2K])を設定したときに、暖房一次エネルギー量(以下暖房一次エネ量)を紹介したいと思います。暖房一次エネ量は外気温0℃、室内温度22℃、外皮表面積307.51m2(国土交通省のモデルハウス値)で計算しています。改善エネ量は、例えばUA値0.7→0.5にした際のエネルギー量の差、改善エネ割合は、その割合を示しています。
UA値 | UA改善量 | 改善割合 | 暖房一次エネ[kW] | 改善エネ量[kW] | 改善エネ割合[kW] |
0.7 | – | – | 4.7 | – | |
0.5 | 0.2 | 28.6% | 3.4 | 1.4 | 28.6% |
0.3 | 0.2 | 40.0% | 2.0 | 1.4 | 40.0% |
よく、ハウスメーカーは改善率で示しますね。下記は一条工務店の例です。嘘ではないです。確かにすごいし、努力されていると思います。ただ、そもそも高断熱の基準から比較した場合、改善量はさほどではないです。(0.86→0.53(1.63倍)と変わりないです。)数字のマジックですね。
おすすめはの手順はベンチマークとなる数値(例えば現在の光熱費)を把握することから。次にどういったところをターゲット値にするか、上記の式で簡単に計算してみてください。
【重要】UA値を下げるには
UA値を上げるには4つの方法があります。
窓の面積を小さくする
家の中で断熱性能を左右し、最も手軽にUA値を改善する方法は、窓の面積を小さくすることです。不要な窓はなくす、採光用の窓は小さいFIX窓にする。小さくても、壁紙・天井が白の場合、だいぶ明るいです。
木造の家にする
鉄骨よりも木造の方が、構造部の伝熱がいいため、UA値が悪化する傾向があります。UA値にこだわる(等級6、7を取る)と木造が選択しになります。
サッシ・ガラスの性能を上げる
昔の家は1枚ガラスでしたが、今はペアガラスは当たり前ですね。
例えば、6地域(東京等)の等級4相当の家では、ペアガラスが推奨されていますが、それ以上にするにはガラスの種類をLow-k複層もしくは三層ガラスにすることが挙げられます。
断熱材を厚くする・高性能のものにする
壁の熱還流率は、断熱材の厚さと種類で決まります。厚い、熱伝導率の低い素材を使えば下がります。様々なメーカーの仕様をまとめてくださっているページを見つけたのでこちらをご覧下さい。こちらでは国土交通省から、各断熱等級を満たすような仕様の例があったので、そちらを記載させていただきます。
省エネ地域区分
断熱性能の目標値は、下記の地域区分で決められています。
Mein Heimの光熱費・エネルギー収支の実績はこちらから。
【再重要】あくまで設計値。施工も含めて考えるべき。
最後に、UA値はあくまで設計値ということを忘れないでください。手抜き工事された場合、性能は落ちてしまいます。断熱材を入れる作業は、まず手作業です。現場施工ならばホームインスペクターに検査してもらうのもよいかと思います。工場施工の場合は見学等に行って、ばらつきがないか見ておくべきです。
ハウスメーカーの皆様へ
UA値をよく見せても、無駄ですよ。最近は安価な計測機器がネットで購入でき、HEMSもあるため、UA値に見合わない光熱費が出たり、手抜き工事が見つかったりしますよ。正直な値、チャンピオン値ではなく、実設計値、さらにはそれも少し安全係数を掛けた数値を出す方が無難に思います。
今回は、だいぶ長い記事になりましたね。
お付き合いいただき、ありがとうございました。ちゅうた首相
コメント